目次
- あなたの恋愛・婚活にも無関係じゃない“弱者男性時代”
- この本が投げかける衝撃の数字
- 「弱者男性」って結局誰のこと?
- 男性が弱さを語れない理由
- 当事者の声に耳を澄ませてみよう
- 書評として感じた魅力
- 一方で見えてきた課題
- 婚活の現場で思うこと
- 前編のまとめ “気づくこと”が最初の一歩
あなたの恋愛・婚活にも無関係じゃない“弱者男性時代”
こんにちは、婚活アドバイザーの結城です。
トイアンナさんの新書『弱者男性1500万人時代』(扶桑社)を手に取り、最初に感じたのは
「これは恋愛や婚活の現場そのものを描いている」という直感でした。
婚活をしている男女にとって、「弱者男性」という言葉はどこか自分とは関係ないと感じるかもしれません。
でも、現場に立っている私からすれば、これは避けて通れない現実です。
恋愛や結婚は「ごく一部の勝者」だけの話ではなく、大多数の普通の人々が直面する現実です。
だからこそ、「弱者男性時代」という視点は、すべての人に関わる話題だと言えるのです。
この本が投げかける衝撃の数字
タイトルにある「1500万人」。
これは日本の男性人口の約4人に1人にあたる規模です。
非正規雇用、低収入、未婚、孤立などの要素が重なり、社会的に「弱者」とされる男性たちを指す数値です。
この数字を見てまず驚くのは、「決して少数派ではない」という事実です。
これほどの規模になると、もはや個人の怠慢や努力不足で片付けられる問題ではありません。
背景には構造的な問題があるのだと気づかされます。
そして恋愛や婚活の現場では、この数字の裏にいる人々が確実に存在しています。婚活イベントで「出会えない」と嘆く男性の中には、経済的・社会的に弱者とされる条件が重なっているケースが多いのです。
「弱者男性」って結局誰のこと?
「弱者男性」という言葉は刺激的で、ある意味レッテルにも聞こえます。本書で定義されるのは、次のような特徴をもつ人たちです。
- 収入が不安定、もしくは低い
- 恋愛・結婚経験が乏しい
- 社会的ネットワーク(友人・地域)が希薄
- 精神的・身体的な不調を抱えている
- 家族からの支援も乏しい
こうした要素が組み合わさると、「詰み状態」に近づいてしまいます。
婚活の現場では、特に「収入」「社会性」「外見」などの条件で差が顕著に出ます。
弱者男性は決して特殊な存在ではなく、私が日々接している婚活男性の一定割合がこのカテゴリーに入ってしまう、そう実感しました。
男性が弱さを語れない理由
社会の文化的背景として、「男は強くあるべき」という呪縛があります。泣くな、弱音を吐くな、稼げ、家庭を養え。こうした無言の圧力が男性を追い込み、弱さを隠すことを常態化させています。
しかし恋愛においては、この「隠す文化」が逆効果です。
弱さを全く見せない人は「何を考えているのかわからない」と受け取られ、距離を置かれます。
逆に適度に弱さを共有できる男性は、人間味が伝わりやすく、信頼関係を築きやすいのです。
つまり、社会が作り上げた「男らしさの規範」が、恋愛の現場では大きな壁になっている。
これが本書を通じてより鮮明に見えてきました。
当事者の声に耳を澄ませてみよう
本書の価値の一つは、多くの当事者の声を収録している点です。
- 「収入はあるのに孤独で誰とも関われない」
- 「女性と話す経験がなさすぎて、婚活イベントに行くだけで苦痛」
- 「自分が結婚できないのは努力不足だから仕方ない」
特に印象的だったのは、弱者男性の75%が「自分のせい」と思い込んでいるという調査結果です。
自己責任の意識が強すぎるあまり、改善の一歩が踏み出せない。これこそが最大の壁ではないでしょうか。
書評として感じた魅力
本書の魅力は三つあります。
- 問題の可視化
1500万人という規模感で、問題を「見える化」した。 - 当事者の声
実際の証言が多く、机上の議論で終わらないリアリティがある。 - 気づきの提示
弱さを言語化することで、初めて改善のきっかけになると教えてくれる。
これらは婚活現場の実感とも強くリンクしており、読む価値を裏打ちしています。
一方で見えてきた課題
もちろん弱点もあります。
- 「1500万人」という数字の根拠は粗い
- 解決策が抽象的で、実践的なロードマップには欠ける
- 男性支援と女性支援の両立をどう考えるかが弱い
書評として評価すると、「問題提起としては一級品、処方箋としては道半ば」と言えるでしょう。
婚活の現場で思うこと
婚活の相談現場に来る男性の多くは、弱者男性的な要素を部分的に抱えています。
たとえば「収入が平均より少し低い」「恋愛経験がほとんどない」「趣味が一人完結型」など。
ただしこれは「終わり」ではなく「改善可能な課題」です。
弱さを弱さのまま放置するか、婚活の武器に転換できるか。それが勝負を分けます。
前編のまとめ “気づくこと”が最初の一歩
『弱者男性1500万人時代』の前半を読み取って得られる最大の教訓は、まずは「気づき」がすべてのスタートになるということです。
婚活でも同じ。
「自分は弱さを抱えている」と素直に認められる人は、そこから行動を変えていける。
この気づきを得るだけでも、大きな第一歩になるのです。
後編では、この気づきをどう「行動」に落とし込むかを考えていきます。
